...小説


神と呼ばれる人


加世子は天才だねぇ
 小さい頃、お隣のおじさん、おばさんがそう言ってくれたの。
 でもね、その頃は天才の意味が分からなかったの。
 天才って何?ってきいたら、
神さまから選ばれた人だよ
 お母さんがそう教えてくれた。
 でも何となくしか分からなかったわ。

 テストで何回か100点とったの。
 そしたら何人かの友達と何人かの先生が言ってくれた。
加世子は天才だね
 やっと意味がはっきり分かった。
 凄く嬉しかった。
 それからはなんでも頑張ったのよ。
 運動でも一生懸命練習したし、勉強だってしっかりやった。

 でもね、みんな私のこと 天才 としか褒めてくれないの。
 天才は褒め言葉じゃないのね。
 誰も私の努力を見てくれないんだもん。

 それに気づいたときは、私は学校の屋上から飛んでた。
 気持ちよかったよ。
 もう誰も私のこと天才って呼ばない、って思ったらスッキリした。
 私は神さまから選ばれた人じゃないね、お母さん。
 
 生まれ変わったら、神さま なんて言葉ききたくないわ。
 でも、初めて天才って言われたときのワクワクした気持は忘れたくない。


(おわり)

2005/10/30




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